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フィジー便り(5)(仕事編)                              (2011年8月)

 皆様、暑中お見舞い申し上げます。日本は今夏も昨年にも増して猛暑のようですね。どうか体調に留意され、ご活躍ください。
 フィジーに赴任して早くも11ヶ月になります。その間、6月にはJICAの規定により、家内と一緒に健康診断のため一時帰国し、日本のすばらしさ、清潔さを改めて確認する機会となりました。しかしながら、2011年3月に発生した、日本有史以来の東日本大震災の復興および原子力発電所事故への対応など、なかなか進んでいないようでもあり、これからの日本の将来を心配する機会でもありました。
 そのような中、なでしこJAPANがドイツ、スウェーデンそしてアメリカをも破って世界一になった朗報、さらには、ここフィジー・ラウトカ(チャーチルパークスタディアム)で開催された、ラグビー・パシフィックネイションズ杯(日本、フィジー、トンガ、サモアの総当たり戦)で日本が17年ぶりにフィジーに勝って、6年目にして初めて優勝し、9月のニュージーランドでの世界大会に弾みをつけたことなどから、この日本の粘り強さで、必ずや立派な復興を遂げるものと確信したところです。

 なお、6月の一時帰国のときは、皆様に大変お世話になり、ありがとうございました。しかし多くの皆様には、ご挨拶もできず、フィジーへ帰ってしまったことをお許しください。次の機会にお会いするのを楽しみにしています。
 さて今回は、仕事の話をしたいと思いますので、前々回のフィジー便り(3)を思い出していただければ幸いです。また、少々専門用語も出てくるかと思いますがご了承願います。


1、 ラグビー・パシフィックネイションズ杯での対応
 前述のように、ここラウトカのチャーチルパークスタディアムで、7月13日の午後、ラグビーの国際試合(サモア対トンガ、日本対フィジー)が行われましたが、それに先立って午前中、我々ラウトカ水道事務所の漏水対策課の職員全員(もちろん私も同行)で、当スタディアムの水道施設の点検を行いました。
 まず、このスタディアムに水道を供給している、フルガー配水池がほぼ満水であることを確認しました。次に、スタディアム内に入り、消火栓の点検、トイレットの手洗い場などの点検、飲料水(水道水)場の水圧テストの結果、0.2メガパスカルで良好であり、また残留塩素が確認できたことなどを課長が大会責任者に報告し、点検業務を完了しました。

このように、ここフィジーの水道は直接飲むことを前提としており、水道水の残留塩素の確認には結構気を使っています。例えば、ラウトカの住宅街で残留塩素を確認できなかったときは、水質担当課長と浄水場長が打ち合わせて、浄水場での塩素注入量を増やすなどの対策を講じています。(前々回の報告のように浄水場での塩素注入量は1.3~1.5mg/Lと日本に比べてかなり多く注入しています。さらに水質的にも良好であり、送配水管での塩素消費は比較的少ないものと思われます。)また、時々ですが、配水管末端付近の消火栓を開けて洗管を行い残留塩素の確保に努めています。
 しかし、塩素注入は浄水場だけで行っており、配水池には追加塩素注入施設がありませんので、浄水場から距離のある地域の配水管の末端では残留塩素が確認できない場合も多いのではないかと思われます。将来的に主な配水地に追加塩素注入施設を設置する必要性について議論したところ、その必要性は理解してもらったようです。


2、 送配水施設の現状
 前々回の報告で、私が所属している西部水道事務所が担当している、ナンディ・ラウトカ地区水道事業の経緯および概要などを紹介しました。その中で、この地区に供給している浄水場は、ラウトカの南側山間部に位置するナガンド浄水場(浄水能力;90,000m3/日)、ラウトカの東側山間部に位置するサル浄水場(浄水能力;5,000m3/日)およびラウトカの北側山間部に位置するブアブア浄水場(浄水能力;10,000m3/日)の3つの浄水場の配水池からナンディ地区およびラウトカ地区の各配水地を経由して、すべて自然流化方式で供給しています。(ポンプは使っていません)


2-1、ナンディ方面への送配水
 ナンディ方面への送配水につきましては、下の図-1.ナンディ方面送配水系統図のように、図の右側(東側)のナガンド浄水場の配水池(WL:164m)から、口径500mm,600mm(旧管),600mm(新管)の3本の送水幹線でナンディ・ラウトカ地区の各配水池に(途中配水管で引き抜かれながら)通常約87,000m3/日送配水されています。
 口径500mm送水管は、約36,000m3/日をナンディ地区のホリカ配水池(WL:78m)、バツアレブ配水池(WL:81m)、ムロムロ配水池(WL:82m)、ロロバラブ配水池(WL:63m)、デライシロ配水池(WL:61m)、ナビラ配水池(WL:36m)へ(途中で配水池からの配水とは別に送水管から配水管を分岐して配水している箇所もあります)送水しています。
 また、口径600mmの2本の送水管のうち、新管は途中ブラックロック配水池(WL:82m)へ口径375mmで約17,000m3/日分岐送水(当配水池から主にナンディ空港、デナラウリゾート地区に配水されている)しています。その後、もう1本の旧管の口径600mmの送水管(上流でナデレ配水地;WL:94mへ送水)と合流後、口径800mmで送水され、途中ブンダ配水池へ口径300mmで分岐後、口径600mmでラウトカ方面へ送水されています。

なお、以前は旧管の口径600mmのみが口径800mmの送水管と連絡され、ブンダ配水池およびラウトカ方面に送配水されていましたが、今年の4月ようやく新管の口径600mmと口径800mm送水管との連絡工事が行われました。
 この工事の進捗状況を、西部水道事務所・漏水対策課職員と調査しているところを地元新聞(フィジータイムズ)に掲載されました。


2-2、ラウトカ方面への送配水
 次に、下の図-2.ラウトカ方面送配水系統図のように、ナガンド浄水場の配水池からナンディ方面に合計約53,000m3/日送水した残量約34,000m3/日は、口径800mmでラウトカ方面へ送水され、途中ブンダ配水地(WL:58m)に7,000~10,000m3/日程度分岐送水した後、口径600mmとなり、サル浄水場内の配水池(WL:97m)に約4,000m3/日分岐送水し、最終的にカシミール配水池(WL:102m)に残量約20,000~23,000m3/日が送水されます。

 なお、ブンダ配水池からは、ナンディとラウトカの境界付近のブンダ地区やナンディ北部地区、ラウトカ南部地区に配水されます。
 また、サル浄水場の配水池からは、浄水量約5,000m3/日とナガンド浄水場からの送水約4,000m3/日、合計約9,000m3/日が主にラウトカタウンの南部方面に配水されています。

次に、カシミール配水池に送られた、20,000~23,000m3/日は、タバクンブ配水池(WL:79m)、ツアレシア配水池(WL:84m)、フルガー配水池(WL:58m)、DMO配水池(WL:46m)へと送水され、それぞれの配水池からの配水と途中で直接配水管に分岐した配水とあわせて丘陵地の高低差の激しい住宅街から海岸近くのラウトカタウンへと配水されています。

2-3、ラウトカ北部方面への送配水
 最後に、下の図-3.ラウトカ北部方面送配水系統図のように、ラウトカ地区の北部山間部に位置する、ブアブア浄水場(図の右側)の配水池(WL:112m)から、送配水量約10,000m3/日を2本の口径300mmでラウトカ北部方面やラウトカタウンの北部方面へ配水するとともに、口径200mmおよび150mmでガリツ配水池(WL:69m)および  ラウトカの丘陵地に位置する住宅街
バカブリ配水池(WL:75m)へ送水され、
ラウトカの北部方面へ配水されています。

以上、ナンディ・ラウトカ地区の送配水系統を説明しましたが、非常にわかりにくいと思います。これまで示してきました図-1から3の各方面への送配水系統図と末尾の管内図(わかりやすくするため9ページに参考図を付けました)を見比べていただき、少しでもわかっていただければ幸いです。

3.送配水幹線管理の改善策への取り組み
3-1、ナンディ方面への送配水(図-1.ナンディ方面送配水系統図参照)

 まず、ナガンド浄水場の配水池からナンディ方面に送水されている、口径500mm送水管の路線調査(漏水調査など)や、空気弁を利用した水圧測定さらにはポータブル超音波流量計による流量測定を実施し、水圧測定結果と損失水頭計算上の水圧の比較検討などを行い、送水管維持管理担当のスタッフと協議した結果、排水弁、空気弁、口径500mmの弁などからの漏水や機能していない空気弁があることなどの実態が明らかになりました。これらの修理は早急に行うべきですが、修理のためには広範囲な断水が必要であるため、漏水箇所すべてをいっせいに修理すべく準備を行ってきた結果、やっとこの7月上旬に修理が終わりました。今後、水圧測定による確認とともに、送水管や配水管の適正管理のための弁調整と併せて送水管や配水管などの漏水調査を行っていく予定です。

 さらに、このナガンド浄水場の配水池から送水された水が約30km離れたナビラ配水池(現在、国でリゾート開発計画があり、これのために建設された配水池)まで水圧不足のため届いていない状況ですので、この改善対策を今後急がなければならないと思います。

3-2、ラウトカ方面への送配水(図-2.ラウトカ方面送配水系統図参照)
 前述しましたように、ナガンド浄水場の配水池からの口径600mmの新管と口径800mmの連絡工事がこの4月施工されましたが、それ以前は、カシミール配水池まで届く水の量が少なく、ラウトカの住宅街の一部は、朝夕だけの給水で他の時間帯は断水(午前3時~9時までと午後3時~9時までの給水、つまり1日4回の現場での弁操作が必要)の状況でした。
 その後、前述の連絡工事が完成した現在は、ナガンド浄水場の配水池水位と流出量、ブラックロック配水池の水位と流入出量、ブンダ配水池の水位と流入出量、さらにはカシミール配水池の水位と流入出量などを確認しながら試行錯誤の現場での弁操作を行いながら、可能な限りの安定給水に努めている状況です。例えばどこかの配水池水位が上がれば他のどこかの配水池水位が下がるなど、いわゆるシーソーゲームをやっているようなものです。
 このような状況ではありますが、以前と比べるとカシミール配水池への流入量は比較的安定しており、ラウトカの住宅街の一部は夜間だけの断水(午後9時~午前3時までの断水、つまり現場での弁操作は1日2回でよい)に改善されました。
 今後は、これらの送配水系統の弁操作の定型化(確立)に努めていくことにしています。


3-3、ラウトカ市内への配水(図-2.ラウトカ方面送配水系統図参照)
 前述のように、ナガンド浄水場の配水池から送水された浄水は、最終的にカシミール配水池へ送られ、カシミール配水池を拠点として送水された、4つの配水池からの配水とカシミール配水池からの送水管から分岐配水した配水管が複雑に輻輳(多いところは、1つの道路に5本くらいの配水管が敷設されている)した状態で、高低差の激しい住宅街を経由して、一挙に海岸近くの商店街へと配水されています。
 さらに、従来から配水管に衝撃や高水圧に弱い石綿管を採用してきたことから、最近、塩化ビニール管を採用し、配水管改良を行っていますが、旧管(主に石綿管)を廃棄せず併用して配水していること、前述のように地形的に高低差が激しいにもかかわらず、自然流下配水方式であるため、標高が高い地区は水圧不足、低い地区は高水圧による漏水の原因になっていることなどから、いたる地区で漏水や断水・出水不良を引き起こしており、さらに、ラウトカの住宅街の一部は夜間断水などの弁操作が行われている状況です。
 今後は、カシミール配水池からの配水状況をステップテストなどにより確認し、輻輳している各配水池の配水区域や配水管を整理し、併せて漏水調査を行っていくことにしていますが、その道筋だけでも確立出来ればと思っているところです。


3-4、ラウトカ北部方面への送配水(図-3.ラウトカ北部方面送配水系統図参照)
 前述しましたように、ブアブア浄水場の配水池から約10,000m3/日を4本の送水管および配水管と、途中2つの配水池を経由した配水管により、ラウトカ北部の農山漁村地区に配水していますが、海岸近くの地区は標高も低いため、何とか給水出来ていますが、比較的標高の高い農山村地区は水圧不足で出水不良の地区が多いところです。
 当地区の安定給水対策について、現在(一時帰国後)精力的に対応しているところです。なかでも、ガリツ配水池からの配水区域で比較的標高の高い地区の出水不良対策について、ブアブア浄水場の配水池の流出弁操作によるガリツ配水池への流入量確保と流出量調整ならびに配水区域の弁操作、さらには、要所での水圧確認と漏水箇所の早期修理をおこなうことにより、一部高台地区では、10数年来の出水不良を解消しました。

 さらに、バカブリ配水池では、流入量の分だけ流出しており一応配水区域の給水は出来ていますが配水池水位はほぼ0mに近い状況です。現在、配水池水位をある程度確保しながら安定給水が出来るように弁操作の試行錯誤を行っている状況です。
 また、ブアブア浄水場からの送配水量の能力が不足しており、口径300mmで配水している一部の地区は1日4回の弁操作により断水・給水を行っている状況ですが、これらの改善策にも取り組んで行きたいと、漏水対策課の仲間とも話し合っているところです。
 予断になりますが、このように現地スタッフと出水不良箇所を走り回っていますと、「やっと待望の水道水が出るようになった!」などと喜ばれ、生姜の利いた熱くて甘いミルクティやクッキーなどをごちそうしていただいたり、庭になっているオレンジ類をとり放題だったりなど楽しい面もあります。また、下の写真の左側の男性(33歳)は、「水道が出るようになってやっとお嫁さんが来てくれる!」といって、8月20日の結婚式の招待状を手渡してくれました。

おわりに
 以上、今回は3つの浄水場からの送配水系統の現状と安定給水へ向けての活動状況を紹介しましたが、こちらに赴任してとにかく目立つことは、配水管の漏水箇所だけでなく、浄水場内の漏水や機器の故障、配水池の水位計、フロート弁、流量計などの故障や不具合箇所が多いことです。月例会議や打ち合わせなど機会ある毎に故障箇所の修理を早くするように促しています。
今回は、少し具体的に私の活動状況を紹介しましたが、かなり、独りよがりの面が多く、皆様には理解し難く、また大変長い報告になってしまったことをお許しください。
次回以降は、もう少しわかりやすい活動状況を紹介出来ればと思っています。
それでは、皆様におかれましては、酷暑のおり、どうかご自愛いただきながらご活躍ください。

参考(用語の解説をしてみました。専門的には少し違う所もあるかと思いますが、わか
りやすく書いたつもりです。ご了承ください。)
1、 浄水場
ダムや川などから取水した水は、そのままでは飲料用として適さないため適切な処理・操作を行い、飲料用として適するように水処理を行う所です。
2、 送水
浄水場で水処理された水を配水池などまで、水道管で送ることです。
3、 配水池
水道水を供給する区域の使用量や使用量の時間変動、事故対応や消火用水量などに応じて適切な水道水供給を行うために、水道水を一時的に貯える池です。
4、 配水
浄水場で製造された水道水を安全かつ円滑に水道使用者に輸送することです。
5、 水圧:0.2 メガパスカル
水圧とは、水道の蛇口から水道水が出るときの水の勢いの度合いをいいます。
0.2~0.15 メガパスカル(2~1.5 kgf/cm2)程度が一般的に最低必要な水圧とされています。
6、 残留塩素
水道水中に消毒用塩素を入れることによって、水道水中に残留した有効塩素を言います。衛生上の措置として、水道の蛇口での残留塩素として、0.1mg/L 以上(遊離残留塩素の場合)保持するよう、水道法施行規則に定められています。
7、 フロート弁
水面上の浮き(フロート)が、水位の変動にあわせて昇降するとき、浮きと連動して自動的に開閉する弁のことで、水洗便所の洗浄タンクに水を一定量貯めるために使用するボールタップのようなものです。
8、 排水弁
水道管の中を洗浄するときなどに、生じた濁った水などを水道管外に排出するための弁です。
9、 空気弁
水道管の中に混入した空気を水道管外に排出するための弁です。
水道管の中に空気が混入していると、水の流れが悪くなることや、水道管破損の原因になることもあります。また、家庭の蛇口から白く濁った水が出ることもあります。


*今回の報告は以上ですが、間違い、不適切な表現などありましたら、お許しください。また、皆様のご意見、ご指導など、お待ちしています。